日本の国民性かも?
ニッポンがすり合わせ型を重視してきたのは、国民性が影響しているのかもしれません。
コマツの建設機械やクボタの農業機械などは、故障による活動停止期間(ダウンタイムと呼びます)が長いほど、お客さまの収益減少に直結しますので、とにかく壊れない製品を求められる傾向にあります。そのため、製品価格が多少高くても品質重視、ということだと思います。
時がゆっくり流れる世界では、壊れたら仕事を休めば良い、だから機械は安価な方が選ばれる。そのためモジュール型で早く安く作れる方が良いと考えられているのかもしれません。
秒単位で合わせる日本の鉄道
鉄道が時刻表通りに動くニッポン。これが実現できているのは、勤勉な日本人ならではの、一種の文化と言っても過言ではないと思います。このニッポンでは、多少壊れても安い方を選ぶといった考え方は、あまり好まれないのでしょう。
日本の鉄道が定刻運行できるのは、例えば東京の山手線のような、とても過密なラッシュ時でさえ、緻密な調整があって実現できているのです。これも、一種のすり合わせ型によってなせる業、という気がします。換言すると、日本人以外ではあり得ないのではないかと思います。
以前テレビで、東京都心におけるJRの運行管理について特集された番組を観たことがあるのですが、文字通り秒単位で、しかも山手線、中央線、総武線などの繋ぎ(?)を、乗客の流出入も計算したうえで、まさにすり合わせて信号などを制御している、といった内容でした。エンジニアの端くれである筆者は感動したのを覚えています。
すり合わせ型も岐路に立たされている?
しかし昨今、自動車だけではなく、建設機械や農業機械でも電動化・ハイブリッド化・自動化が進められるようになってきました。次はいよいよ本題として、すり合わせ型が岐路に立たされているのではないか?という問題提起について、筆者のコマツの元同僚から伺った内容を踏まえて切り込んでいきます。
※本稿は長いので、3回に分けてお届けします。